屋外広告士（設計・施工）-コンクリート

屋外広告士（2023年）
2023.08.15

屋外広告士試験の問題C（設計・施工）の中から「コンクリート」に関する情報をまとめました。

実際の屋外広告士試験から過去に出題された問題を元に作成した練習問題もありますので、屋外広告士試験に臨む方は、ぜひご活用ください。

１、屋外広告士とは？

屋外広告士とは、屋外広告物（いわゆる看板）の製作と施工に関する技術・専門知識を有することを証明する公的資格です。

町を歩いていると必ず目にする看板の数々もさまざまな法的規制や設計基準などが設けられており、看板を設置するためには専門の知識と技能が必要なのですが、屋外広告士は試験によってその知識と技能を裏付ける資格です。

そのため看板施工を取り扱う企業ではこの資格者を優遇する企業も多くあります。

２、屋外広告士はどうやって資格取得できるの？

屋外広告士の資格を取得するためには、毎年10月に開催される試験に合格する必要があります。

屋外広告士の受験資格

屋外広告士試験を実施しているのは一般社団法人・日本屋外広告業団体連合会という社団法人で、こちらのサイトによると以下のように記載があります。

  1. 受験年の10月１日現在で、屋外広告業等に従事した満18歳以上の実務経験が、３年以上ある者。（受験できる最低年齢は21歳となります。）
  2. 実務経験は施工等に従事した経験を指し、屋外広告工事とは、広告板、広告塔、ネオンサイン、ディスプレイ等、屋外広告物の製作・設置を行う工事をいいます。
一般社団法人　日本屋外広告業団体連合会　ウェブサイトより

要は受験年の10月1日までに

  1. 満21歳以上
  2. 実務経験3年以上（施工等に従事した経験）

このふたつを満たせば受検資格があるということです。

屋外広告士の試験内容

屋外広告士の試験では、学課試験（3科目）と実技試験1科目（設計orデザインから選択）からそれぞれ満点の60％以上を獲得する必要があります。

学課試験はA、B、Cの3科目合計で60％（全50問中30問以上）なので、得意科目に特化して勉強してもよいのですが、各科目の最低基準点（40％以上）が設けられており、これをクリアする必要があります。

たとえば学科試験Aで15問正解、学科試験Bで20問正解とそれぞれ満点をとれていても、学科試験Cで5問以下しか正解できなかった場合は学課最低基準点未達のために合格になりません。

実技試験は、設計（構造図面を作成）またはデザイン（色鉛筆などでデザイン画を描く）のいずれかを選択できます。

実技試験の採点は事務局の方が行っていて明確な基準は公表されていませんが、設計は強度等の必要要件を満たしているか採点され、デザインは出題意図に沿ったデザインが出来ているかを採点されているようです。

時間出題数合格基準最低基準
学課試験A（関係法規）60分15問3科目合計60％以上正解6問以上
学科試験B（広告デザイン）80分20問3科目合計60％以上正解8問以上
学科試験C（設計・施工）60分15問3科目合計60％以上正解6問以上
実技試験（デザインまたは設計から選択）120分1問100点満点中60点以上–

３、先に”2級建築施工管理技士”を取得するのもオススメ

資格のダブルホルダーで可能性がさらに広がる

屋外広告士は看板業界で有用な資格ではありますが、より幅広い業種へのステップアップを考えている方には建築施工管理技士の資格取得もおすすめです。

施工管理技士とは建設業において特定業種の技術を認定した国家資格で、土木、建築、管工事、造園、電気工事、電気通信設備工事、建設機械施工など7種、それぞれ1級と2級に区分されています。

この中でも特に狙い目は建築施工管理技士です。屋外広告士を目指す看板屋さんにとっても関係の深い分野だからです。

建築施工管理技士と屋外広告士のダブルホルダーは看板業界の中ではかなり有用です。

もちろん施工管理技士資格を持つことにより、さらに幅広い業界への転職などの可能性も拡がります。

建築施工管理技士の資格を先にとったほうがいい理由

もしもこの資格ダブルホルダーを狙う場合、建築施工管理技士の資格を先に取得しておくほうが屋外広告士試験でも有利になることをご存知でしょうか？

実は、１級･２級建築施工管理技士、または１級･２級土木施工管理技士をすでに取得している場合、屋外広告士試験の学科試験C（設計・施工）が免除になるのです。

屋外広告士試験4科目のうち1科目が免除されれば負担がかなり軽減され、屋外広告士試験の合格の確率は上がるでしょう。

施工管理技士のほうが実務経験年数などがより多く求められるのですが、どのみち建築施工管理技士と屋外広告士の両方の資格をとるつもりであれば、順番として施工管理技士を先に取る方が効率的だと言えます。

建築施工管理技士でも、2級であれば決して手の届かない難易度ではなく、完全独学で取得する人もたくさんいます。

また、より早い時期に資格を取得したいなら、株式会社ディーラーニング「独学サポート」などの通信教材を利用してより確実に合格を目指すことも、早期のキャリアアップへの方法のひとつでしょう。

４、コンクリートの出題はどのくらい重要？

屋外広告士試験において、コンクリートに関する問題は毎年ほぼ必ず出題されています。

屋外広告士のみならず、建築施工管理技士や建築士の試験にも出題の多い、いわば建築の基礎知識になるため、しっかりと覚えておきたいものです。

５、練習問題

屋外広告士・学科試験Cにおいて、令和元年以降の過去問より特に出題される傾向の高い正誤問題をピックアップしました。

実際の屋外広告士試験ではほとんどが四者択一問題ですが、どの設問も出題文章の正誤を問う内容になっているため、個別で正誤が判断できるように勉強しておきましょう。

以下の例題を○×で答えてください。

それぞれ「答えと解説・用語」ボタンを押すと、正解と解説が出てきます。

【問1】コンクリートの引張強度は、圧縮強度の約1/10程度と小さく、圧縮強度が大きいほど引張強度も大きくなる。

○正しい

  • 圧縮強度：軸方向に押されたときの強度のこと。押しつぶされる方向の力に対する強度。
  • 引張強度：材料に引張荷重を加え破断するまでに生ずる最大応力。部材の外側へ引っ張られた力への強度

【問2】セメント粒子の小さいものほど、コンクリートの初期強度発現が早くなる。

○正しい

【問3】コンクリート製造にあたり、セメント、骨材に対する規定はあるが、練混ぜ水に対する規定はない。

×誤り：練混ぜ水にも規定はある。

【問4】コンクリートの短期許容圧縮応力度は、2Fc/3（Fc：設計基準強度）である。

○正しい

  • コンクリートの許容応力度:長期圧縮Fc/3、短期圧縮2Fc/3（長期の二倍）

【問5】普通ポルトランドセメントを用いた材齢28日のコンクリートの圧縮強度は、通常の場合、材齢1年の圧縮強度の80％程度である。

○正しい

  • 普通ポルトランドセメント：最も一般的（標準的）なセメントのこと。一般のコンクリート工事で使います。日本で生産されるセメントの7割を占めており要するにセメントのほとんどが「普通ポルトランドセメント」。
  • 圧縮強度：軸方向に押されたときの強度のこと。押しつぶされる方向の力に対する強度。

【問6】コンクリートの打ち込み後、コンクリート表面を養生マットで覆い、湿潤養生を行った。

○正しい

湿潤養生：打設後のコンクリートに対して、散水・覆い養生等により湿潤な状態を保ち、コンクリートに水分供給して強度の発現を促すこと。

【問7】普通ポルトランドセメントを用いた場合、一般に、コンクリートの水セメント比が小さいほど、大気中における中性化速度は早い。

×誤り：コンクリートの水セメント比が小さいほど、大気中における中性化速度は遅い。

  • 普通ポルトランドセメント：最も一般的（標準的）なセメントのこと。一般のコンクリート工事で使います。日本で生産されるセメントの7割を占めており要するにセメントのほとんどが「普通ポルトランドセメント」。
  • コンクリートの中性化：強アルカリ性（pHが12~13）であるコンクリートに大気中の二酸化炭素（CO2）が侵入し、水酸化カルシウム等のセメント水和物と炭酸化反応を起こすことにより細孔溶液のpHを低下させる劣化現象。中性化が進行することにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され鉄筋の腐食が進行します。

【問8】コンクリートのヤング係数は、圧縮強度が高くなると小さくなる。

×誤り：コンクリートのヤング係数は、コンクリートの圧縮強度が高いほど大きくなる。

  • ヤング係数：材料の変形しにくさを表している係数のこと。 大きくなるほど変形しにくいことを示す。

【問9】コンクリートの締固めにおいては、コンクリート棒形振動機を用いて、打込み各層ごとに、その下層に振動機の先端が入るようにして加振した。

○正しい：振動機は打込み各層ごとに用い、その下層に振動機先端が入るようにほぼ垂直に挿入する。（JASS5打込み）

【問10】コンクリートの練混ぜ開始から打込み終了までの時間は、外気温が35℃であったので、120分を限度とした。

×誤り：外気温25℃未満で120分、25℃以上で90分と定められている。

  • 練混ぜ時間に制限がある理由：コンクリート練混ぜからの時間の経過に伴って、スランプの低下、あるいは空気量の低下、コンクリートの温度上昇が生じ、これらのことにより打込み欠陥の発生やコンクリートの耐久性を損ねることにもなるから。

【問11】コンクリートの締固めにおいては、コンクリート棒形振動機を用いて、その挿入間隔を60cm以下として打った。

○正しい：コンクリート棒形振動機は60cm以下間隔で加振し、コンクリートペーストが浮くまで加振を行う。（JASS5打込み）

【問12】コンクリートの圧送に先立ち、コンクリートの品質の変化を防止するために、富調合のモルタルを圧送した。

○正しい：コンクリート圧送に先立ち、富調合のモルタルを圧送して配管内面に潤滑性を付与し、コンクリートの品質変化を防ぐ。

  • コンクリート圧送：コンクリートミキサー車によって建築現場に運ばれてきた生コンクリートを、コンクリートポンプ車を使用し油圧や機械的圧力により所定の型枠内に送ること。
  • 富調合：セメントが多い調合のこと。逆にセメントが少ない調合を貧調合という

【問13】コンクリートのヤング係数は、圧縮強度が高いほど大きい。

○正しい：コンクリートのヤング係数は、コンクリートの圧縮強度が高いほど大きくなる。

  • ヤング係数：材料の変形しにくさを表している係数のこと。 大きくなるほど変形しにくいことを示す。

【問14】コンクリートのヤング係数は、圧縮強度が同じならば、軽量コンクリートより普通コンクリートの方が大きい。

○正しい：普通コンクリートは2.94×104N/mm²、軽量コンクリートは1.85×104N/mm²と、普通コンクリートの方がヤング係数は大きい。

  • ヤング係数：材料の変形しにくさを表している係数のこと。 大きくなるほど変形しにくいことを示す。

【問15】コンクリートのヤング係数は、応力度ひずみ度曲線上における圧縮強度試験時の最大荷重の点と原点とを結ぶ直線の勾配で表される。

×誤り：ヤング係数は一般的に原点と、圧縮強度の1/4または1/3の応力度の点を結んだ勾配で表される。

  • ヤング係数：材料の変形しにくさを表している係数のこと。 大きくなるほど変形しにくいことを示す。

【問16】一軸圧縮を受けるコンクリート円柱供試体の圧縮強度時ひずみ度は、一般に、圧縮強度が大きいほど小さくなる。

×誤り：一軸圧縮を受けるコンクリート円柱供試体の圧縮強度時ひずみ度は、一般に、圧縮強度が大きいほど大きくなる。

  • 一軸圧縮：一軸方向の最大の圧縮のこと。
  • ひずみ度：部材に外力が作用すると、部材内部に応力が生じ、これにより生じる変形をひずみ（ひずみ度）という。

【問17】同一打込み工区に、2つの工場で製造されたレディーミクストコンクリートを打ち込んだ。

×誤り：同一打込み工区に同時に複数の工場よりコンクリートが供給されるとそれぞれの工場の品質責任が不明瞭になるため、複数の工場からの共有は行わないようにする。

  • レディーミクストコンクリート：セメントや骨材など練り混ぜた段階の、打設前コンクリート。生コンクリートや生コンともいわれる。

【問18】コンクリートの調合管理強度の管理試験用供試体を、1回の試験分として2個作成した。

×誤り：管理試験用供試体の数は、打込み日ごと、打込み工区ごと、150㎥以下ごとに１回の試験が必要で、1回の試験につき3個の供試体を用いる。

  • 調合管理強度：標準養生（20℃水中養生）された供試体が持つべき強度。
  • 供試体：打設されたコンクリートの強度試験を行うために、あらかじめ打設前に同一のコンクリートを採取しておき、作成された試験のためのコンクリート体。

【問19】レディーミクストコンクリートの場合は、荷卸し直前にトラックアジテータのドラムを高速回転させ、コンクリートを均質にしてから排出した。

○正しい

  • レディーミクストコンクリート：セメントや骨材など練り混ぜた段階の、打設前コンクリート。生コンクリートや生コンともいわれる。
  • トラックアジテータ：生コンクリートを回転拡販させるドラム装置を搭載した運搬車両。見た目も酷似していることから一般的にミキサー車と呼ばれることもあるが、厳密にはミキサー車はセメントと骨材等直接ドラム装置に入れて練り混ぜるものに対し、トラックアジテータは練混ぜられたコンクリートをドラム装置に入れて撹拌しながら運搬する。

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