屋外広告士(設計・施工)-鉄筋コンクリート構造

屋外広告士(2023年)

屋外広告士試験の問題C(設計・施工)の中から「鉄筋コンクリート構造」に関する情報をまとめました。

実際の屋外広告士試験から過去に出題された問題を元に作成した練習問題もありますので、屋外広告士試験に臨む方は、ぜひご活用ください。

1、屋外広告士とは?

屋外広告士とは、屋外広告物(いわゆる看板)の製作と施工に関する技術・専門知識を有することを証明する公的資格です。

町を歩いていると必ず目にする看板の数々もさまざまな法的規制や設計基準などが設けられており、看板を設置するためには専門の知識と技能が必要なのですが、屋外広告士は試験によってその知識と技能を裏付ける資格です。

そのため看板施工を取り扱う企業ではこの資格者を優遇する企業も多くあります。

2、屋外広告士はどうやって資格取得できるの?

屋外広告士の資格を取得するためには、毎年10月に開催される試験に合格する必要があります。

屋外広告士の受験資格

屋外広告士試験を実施しているのは一般社団法人・日本屋外広告業団体連合会という社団法人で、こちらのサイトによると以下のように記載があります。

  1. 受験年の10月1日現在で、屋外広告業等に従事した満18歳以上の実務経験が、3年以上ある者。(受験できる最低年齢は21歳となります。)
  2. 実務経験は施工等に従事した経験を指し、屋外広告工事とは、広告板、広告塔、ネオンサイン、ディスプレイ等、屋外広告物の製作・設置を行う工事をいいます。
一般社団法人 日本屋外広告業団体連合会 ウェブサイトより

要は受験年の10月1日までに

  1. 満21歳以上
  2. 実務経験3年以上(施工等に従事した経験)

このふたつを満たせば受検資格があるということです。

屋外広告士の試験内容

屋外広告士の試験では、学課試験(3科目)と実技試験1科目(設計orデザインから選択)からそれぞれ満点の60%以上を獲得する必要があります。

学課試験はA、B、Cの3科目合計で60%(全50問中30問以上)なので、得意科目に特化して勉強してもよいのですが、各科目の最低基準点(40%以上)が設けられており、これをクリアする必要があります。

たとえば学科試験Aで15問正解、学科試験Bで20問正解とそれぞれ満点をとれていても、学科試験Cで5問以下しか正解できなかった場合は学課最低基準点未達のために合格になりません。

実技試験は、設計(構造図面を作成)またはデザイン(色鉛筆などでデザイン画を描く)のいずれかを選択できます。

実技試験の採点は事務局の方が行っていて明確な基準は公表されていませんが、設計は強度等の必要要件を満たしているか採点され、デザインは出題意図に沿ったデザインが出来ているかを採点されているようです。

時間出題数合格基準最低基準
学課試験A(関係法規)60分15問3科目合計60%以上正解6問以上
学科試験B(広告デザイン)80分20問3科目合計60%以上正解8問以上
学科試験C(設計・施工)60分15問3科目合計60%以上正解6問以上
実技試験(デザインまたは設計から選択)120分1問100点満点中60点以上

3、先に”2級建築施工管理技士”を取得するのもオススメ

資格のダブルホルダーで可能性がさらに広がる

屋外広告士は看板業界で有用な資格ではありますが、より幅広い業種へのステップアップを考えている方には建築施工管理技士の資格取得もおすすめです。

施工管理技士とは建設業において特定業種の技術を認定した国家資格で、土木、建築、管工事、造園、電気工事、電気通信設備工事、建設機械施工など7種、それぞれ1級と2級に区分されています。

この中でも特に狙い目は建築施工管理技士です。屋外広告士を目指す看板屋さんにとっても関係の深い分野だからです。

建築施工管理技士と屋外広告士のダブルホルダーは看板業界の中ではかなり有用です。

もちろん施工管理技士資格を持つことにより、さらに幅広い業界への転職などの可能性も拡がります。

建築施工管理技士の資格を先にとったほうがいい理由

もしもこの資格ダブルホルダーを狙う場合、建築施工管理技士の資格を先に取得しておくほうが屋外広告士試験でも有利になることをご存知でしょうか?

実は、1級・2級建築施工管理技士、または1級・2級土木施工管理技士をすでに取得している場合、屋外広告士試験の学科試験C(設計・施工)が免除になるのです。

屋外広告士試験4科目のうち1科目が免除されれば負担がかなり軽減され、屋外広告士試験の合格の確率は上がるでしょう。

施工管理技士のほうが実務経験年数などがより多く求められるのですが、どのみち建築施工管理技士と屋外広告士の両方の資格をとるつもりであれば、順番として施工管理技士を先に取る方が効率的だと言えます。

建築施工管理技士でも、2級であれば決して手の届かない難易度ではなく、完全独学で取得する人もたくさんいます。

また、より早い時期に資格を取得したいなら、株式会社ディーラーニング「独学サポート」などの通信教材を利用してより確実に合格を目指すことも、早期のキャリアアップへの方法のひとつでしょう。


4、鉄筋コンクリート構造の出題はどのくらい重要?

屋外広告士試験において、鉄筋コンクリート構造に関する問題は例年出題される確率の高い問題です。

別記事のコンクリートや鋼材に関する問題とともに学習すると理解が深まるでしょう。

5、練習問題

屋外広告士・学科試験Cにおいて、令和元年以降の過去問より特に出題される傾向の高い正誤問題をピックアップしました。

実際の屋外広告士試験ではほとんどが四者択一問題ですが、どの設問も出題文章の正誤を問う内容になっているため、個別で正誤が判断できるように勉強しておきましょう。

以下の例題を○×で答えてください。

それぞれ「答えと解説・用語」ボタンを押すと、正解と解説が出てきます。

【問1】鉄筋コンクリート工事において、鉄筋の重ね継手の長さが40dの場合、直径の異なる異形鉄筋D10 とD13との継手の長さは400mmとした。

○正しい:直径の異なる継手の定着長さは細い方の径によるため、D10 、D13 の定着長さ40dは、40×10mmである。

《参考》継手ってなに?鉄筋継手の種類と、鉄筋の重ね継手長さ

  • 重ね継手:二つの材を重ねて延長する方法。「ラップさせる」と呼ぶこともある。鉄筋では結束線で拘束する。(溶接することもある)一定の長さで重ね合わせなければ効果を発揮することができない。

【問2】鉄筋コンクリート工事において、柱主筋をガス圧接継手とし、隣り合う主筋の継手は、同じ位置となるようにした。

×誤り:継手は一か所に集中することなく相互にずらして設けることを原則とする。ガス圧接継手は原則400mm以上ずらすものと定められている。

  • ガス圧接継手:鉄筋端面同士を突き合わせ、その周辺を加熱すると同時に軸方向に圧縮力を加えて加圧することで、接合面を超えて鉄筋の原子が移動し、マクロ的には結晶粒が接合面を超えて金属結合されて一体となる継手。

【問3】鉄筋圧接外観検査において、圧接部における鉄筋中心軸の偏芯量が規定値を超えていたので、鉄筋のガス圧接部を切り取って再圧接した。

○正しい:鉄筋中心軸の偏芯量が規定値(鉄筋径の1/5d以下・異なる径の鉄筋の圧接では細いほうをdとする)を超えた場合は、圧接部を切り取って再圧接修正し、外観検査および超音波深傷検査をおこなう。

【問4】鉄筋コンクリート工事において、梁主筋を柱内に定着させる部分では、柱の中心線を超えた位置から梁主筋を折り曲げた。

○正しい:梁主筋の柱内定着は、梁主筋の力を無理なく柱に伝えるとともに、主筋の曲がり部の応力集中を避けるため、柱の中心軸を超えてから縦におろして定着する。

【問5】鉄筋コンクリート構造に関して、梁とスラブを一体にして打込む場合、梁の剛性については一般にスラブの有効幅を考慮したT形梁として計算する。

○正しい

【問6】鉄筋コンクリート構造の、部材の曲げモーメントに対する断面計算においては、一般にコンクリートの引張応力度を無視する。

○正しい:コンクリートの引張強度は鉄筋より小さく、梁に曲げが加わると比較的早い段階でひび割れが発生する。鉄筋コンクリート梁の場合はひびが生じれば断面のコンクリート部は引張には抵抗しなくなり、鉄筋のみで引張に抵抗するようになるため、梁の曲げ耐力を考える場合、コンクリートの引張強度は無視する。

《参考》代わりに、コンクリートのひび割れ発生時までは断面の引張をコンクリートも負担するので引張強度を無視しない。

【問7】鉄筋コンクリート構造の柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靭性も大きくなる。

×誤り:柱の軸方向圧縮力が大きくなると、靭性が小さくなる。

  • 靭性:物質の脆性破壊に対する抵抗の程度、あるいは亀裂による強度低下に対する抵抗の程度のこと。

【問8】鉄筋コンクリート構造において、柱の出隅部分に設ける主筋に異形鉄筋を用いる場合、一般に、直線定着としてもよい。

×誤り:主筋の異形鉄筋で、柱の出隅部分の場合は直線定着してはならない。

《参考》鉄筋の定着・その重要性とは?鉄筋工の基礎知識【鉄筋工が解説】

コメント