「石の上にも三年」は真実なのか?

「石の上にも三年」は真実なのか 転職
後輩くん
後輩くん

「石の上にも三年」ていうじゃないですか

めんま
めんま

ことわざのやつね

後輩くん
後輩くん

こないだ職場の上司と話してたら「どんな辛かったり理不尽に思える職場でも、とりあえず三年はがんばるべきだ」という話をされたのですが・・・

めんま
めんま

納得してないんだね 笑

後輩くん
後輩くん

僕は、三年もの貴重な時間を、価値があるかどうかわからない仕事に費やすのはいやだなと思って・・・

めんま
めんま

なるほど

後輩くん
後輩くん

でもその上司のいうことも一理あるようにも思えて、よく分からないんですよね。

めんま
めんま

僕は「石の上にも三年」は、捉え方によってはけっこう危険かなと思ってるよ。

後輩くん
後輩くん

え、「危険」まで言いますか・・・

めんま
めんま

本質を見ずに「石の上にも三年」を妄信すると危ないって感じかな。

そもそも「三年」ってのは単なる比喩だから、ホントに三年という時間設定に縛られることはナンセンスかと。

後輩くん
後輩くん

え、あれって比喩なんですか。じゃあ何年ならいいんでしょうか・・・

めんま
めんま

だから年数そのものを固定化することがナンセンスだってこと。

「三年」という年数がそれなりに意味があった時代もあったけど、今の時代ではもう違うと思ってる。

後輩くん
後輩くん

時代・・・ですか。

昔と今でも変わってきてるってこですかね。

めんま
めんま

はっきり言えるのは、ネットが本格的に普及した現代では完全に転換してる。

後輩くん
後輩くん

そうなんですね。

では現代では「石の上にも三年」という言葉は時代遅れってことなんですね?

めんま
めんま
 

本質的に考えることが大事ってこと。

前提を認識する

会社は会社の価値観を押し付けるものだと認識する

会社にとって、社員には長く働き続けてもらったほうが”得”です。求人自体に大きなコストがかかるし、熟練した社員はそれ自体が会社の財産になるためです。

それなりの水準を満たす社員であれば、「三年」と言わずなるべく長い期間働いて利益をあげてほしいと考えるものです。

かたや、会社としてランニングコストは抑えねばなりません。会社の考え方にもよりますが、多くの場合はなるべく給料や待遇は抑えつつ、それでいて社員にはなるべく長く勤め、常に高いパフォーマンスで働いてほしいというのが会社側の本音と言えるでしょう。

だから会社は経営理念だとか社是とかを発信して、社員に対しても同じ価値観を共有させて求心力を得ようと考えます。

これは構造上の問題であり善悪の話ではありません。そういうものなのです。

長く(3年以上)働き続けるメリットも認識する

なにもひとつの会社で長く働き続けることが悪いと言いたいわけではありません。当然ながら長く働くことのメリットもあります。

今回のテーマに沿ってとりあえず「3年」という時間を軸にして考えてみます。

1、その職場ならではのスキルが身につく

どんな会社でも特有の技術やノウハウがあるものです。

もしも今の職場で習得できるスキルがあなた自身に必要であれば、その職場で経験を積むことにはメリットがあります。

たとえば業種・業界未経験であればそれが3年以内で完全に習得できるケースは少なく、早期に職場を辞めてしまうのはこれを身につける機会を失うことになります。

そういう意味での「石の上にも三年」は間違ってないと言えます。

2、その職場内での地位が上がる

サラリーマンは年数に応じて地位が上がるのが一般的です。会社にもよりますが、ある程度の社歴を積んでないと、主任、係長、課長など社内で昇進できません。(もちろん何年も地位が上がらない場合もありますが)

特定の職場で頭角をあらわすにはどんな有能でも2~3年の年月は必要です。そういう意味でひとつの職場で地位をあげるのに「三年」というのはひとつの目安にもなるでしょう。

もしもある程度の地位を確立してから転職する場合、同業種であれば退職時の役職や地位・収入が転職先の待遇に影響されるケースも多く、転職を繰り返しつつ地位を向上させる人は、昇進あるいはなんらかの結果を出してから、それまでの待遇以上を確保できるように転職しています。

3、転職活動時の定着性評価が高まる

転職時に履歴書には職歴を必ず書くことになりますが、ここであまりに短期でコロコロと職場を変更していると、やはり採用側の心象が悪くなる場合があります。

企業が求人する際、求職者の職歴をとても重視します。これはその人がどのような仕事をしてきたかということを判断するためでもありますが、それ以上に定着性(ひとつの職場でどのくらい継続して働いたか)をかなりシビアに見ています。

企業側も求人に相応のコストや時間・労力をさいているため、どんなにスペックが高い人材でも、定着性が悪い人は当然ながら敬遠します。求人にかけたリソースの元がとれないからです。

「石の上にも三年」という価値観自体が意外と根強いのか、採用側の見る目も「3年以上続いたかどうか」はひとつの目安になってるケースも多いです。

労働とは自己資源の投資だと認識する

そもそも会社で働くというのは、個人の資源を会社に投資して報酬を得る行為です。

上記で述べたメリットに対して、投資した自己資源をどれだけ費やしているかの認識が必要です。

「とにかく闇雲に会社に尽くしていれば、良い未来が待っている」とまで考える人はさすがに少なくなりましたが、自分の貴重な資源を投資していると考えて、その損得を分析している人はあまりいないように思います。

個人の資源は大きく3つに分けられます。

1、時間的資源

サラリーマンである限りは、通常一日8時間・週5日を会社に捧げて報酬を獲得します。(もっと時間を捧げている人も多いでしょう)

たとえば20代の時間と50代の時間どちらも優劣はなくかけがえのないものですが、より若い時間のほうがそれ以降の未来に与える影響が長いため、若ければ若いほど将来への作用は高いと言えます。

だから若い時の時間は貴重だと言われるのです。

貴重な時間を捧げて働く以上、無目的に会社に居続けると、後からとんでもなく後悔することになります。

今やってる仕事が自分の将来にとって有益か、目指す将来像に適っているかは会社は保障してはくれないので、自分自身で主体的に考えなければいけません。

加えて、人生の大切なライフイベント(結婚・子育てなど)が尊重される環境かどうかも考えるべきです。家族との時間を犠牲にしてでも仕事にうちこむのが美徳かのような時代はありましたが、すでに時代錯誤もいいところです。

こういう話でも中高年はあきらめないでください。未来を見た時、現在はもっとも若い時間です。

2、健康的資源

仕事に従事することはシンプルに体力を使います。これが正常な範囲であれば良いのですが、職場によっては常軌を逸した働き方を強いて身体を壊してしまうケースがあります。

これは単純に仕事で体力を消耗することよりも、充分な休養が取れない環境に陥ることに問題があるのです。

人間の体は適切な休養やケアを施すことで回復しますが、やたらと長時間労働を強いられたり、定期的な休みがとれなかったりで生活が不規則になるとうまく回復機能を発揮することができず、体が徐々に蝕まれていきます。

あなたの身の回りに仕事で無理をして身体を壊した先輩や上司の話を聞いたことはないでしょうか? 下手すれば過労死というケースも…

もちろん時には無理をしてでも乗り切るべき場面というのはありますが、それは一時的なものであるべきです。あなた自身の”健康”という資源は少々の成果と引き換えにして良いものではないと自覚しましょう。

3、精神的資源

いわゆる精神論を振りかざして「やる気があればなんでも乗り切れる」と指導する時代錯誤なリーダーがまだまだ多いです。

たとえば会社の理念や考え方に心から賛同して、自分自身にモチベーションがあればその理屈も成立しますが、会社組織に半ば強要されたように無理強いされると、精神的に消耗し、行き過ぎると変調をきたすこともあります。

単に仕事が辛いだけならまだ良いですが、職場内で執拗ないじめにあったり、パワハラを受けたりで本当に精神的に追い詰められるケースも少なくありません。

精神が消耗されるとまともな判断ができなくなったり、自信を失っているため必要な決断ができなくなったり、ひどくなると鬱などの精神疾患に罹り、最終的には心身共に健康を害することもあります。

後輩くん
後輩くん

なんだか壮絶な話になってきました…

めんま
めんま

若いうちは頭で理解しても実感しにくいことばかりかも知れない。

後輩くん
後輩くん

時間はともかく、健康や精神も有限って発想はありませんでしたね。たしかに。

めんま
めんま

もちろん体力も精神力も鍛えて増強していけるけれど、それは健全な状態であればの話。

後輩くん
後輩くん

健全さを保つためにも、どちらにも適切な栄養や休息が絶対必要ってことですね。

めんま
めんま

中高年になると、体力も精神力も有限なものなのだとイヤでも思い知らされるようになるよ。

後輩くん
後輩くん

何日も徹夜して体力と精神の限界まで無理して乗り切ることもありますが、そういう時って実際パフォーマンス落ちますもんね。

めんま
めんま

限界ギリギリまで頑張るのは良いことのように見えるけど、自分自身へのダメージは確実に蓄積されるので、それは自己資源を大きく支出をしていることになる。

後輩くん
後輩くん

よくわかります。

めんま
めんま

では話は戻って「石の上にも三年」の是非を考えようか。

時代の変化を知る

現代は超マッチング社会

現代は「超マッチング社会」の時代です。

仕事をさがすのも、恋人を探すのも、結婚相手をさがすのも、あるいは趣味の似た人をさがすのも、ネット普及以前の時代に比べると実にたやすく行うことができます。

現在では当たり前のことですが、ネット普及以前では当たり前ではありませんでした。

状況は大きく変化しているにもかかわらず、価値観だけが転換していない中高年が案外多く、「石の上にも三年」という言葉はそのギャップのひとつだと言えます。

終身雇用という価値観がなくなった時代

現代では「終身雇用」という言葉自体が完全な死語となり、就職時にだれ一人として「この会社で骨をうずめる決意」などしません。

転職のハードルも昔から考えるとかなり低くなっていて、サポートする環境が整っていることもそうですが、周囲の転職者に対して見る目もかなり理解が進んでいて、転職者のほうが多数派という会社も珍しくありません。

時代のスピード

ネット普及以前とくらべると、あきらかに時代のスピードが早くなっています。業界の盛衰も激しいため、石の上で三年もジッとしていたら、あっと言う間に時代遅れになってしまう世の中です。

言い換えると、腰を据えて仕事をじっくり確立させたくても、そうはさせてもらえない時代ともいえます。

これが良いか悪いかは別として、変化に対応できる体制をいつでも作っておくのが、令和の社会人には必須と言えるかも知れません。

結論:「石の上にも三年」は時代の合わない

「石の上にも三年」が妥当だった時代はたしかにありました。ネットがなくて、転職サイトもなくて、企業が終身雇用を前提としていた社会であれば、いわば最初に入社した会社でほぼ人生の先行きが決まったようなものでした。

転職者はドロップアウト組と見なされて、現代のようなキャリアアップのための転職があまり認知されてなかった時代。多少の理不尽があっても「石の上にも三年」と過ごすうちにだんだん慣れてきて、会社組織に自分をフィットさせていくのが正しい処世術だった時代が…それらはもう大昔の話です。

めんま
めんま

自分に合う職場を見つけやすくなった代わりに、時代の変化にも敏感であることが求められてるってことだね。

一体どっちのほうが幸せなのだろうか?とは思うけどね。

レベル別 転職を考えるべきシチュエーション

「自己資源」に立ち戻って考えると、会社で働くために費やす自己資源(時間・健康・精神)に対して、その会社の仕事で得られるものが見合っていれば、三年と言わず長く働いたほうが良いでしょう。

逆に投資した自己資源に対して得られるものが少ないと判断した場合は、さっさと見切りをつけて環境を変化させることが必要です。

転職を考えるべき基準として、以下の3つのレベルにわけて考えてみてください。

レベル1:投資した自己資源に対してリターンが見合わないなら検討要

会社から得られるものが、この費やしている時間に見合ったものでないと感じるならば、外に目を向けてみるのも良いでしょう。

”得られるもの”とは給料だけではありません。たとえば金銭面で満足できないとしても、その会社で得られる技術やノウハウのために時間を投資して、自分が望む未来に繋げられるなら立派に利益ある投資です。

知識、技術、経験、スキル、地位、人脈、いずれにおいても自分の未来への利益になり、それを手に入れるためにどれだけ時間を投資してよいかで判断するべきでしょう。この投資は数値化した損益計算はできませんが、時間と労力を費やして何を得るか、これを自覚して主体的に判断していく以外ありませんが、これが見合っていないと感じるならば環境を変えてみることも検討すべきでしょう。

レベル2:健康を損なう職場からはなるべく早く脱出

健康を大きく損なう環境であるならば、その環境から脱出を試みるべきです。

もっとも、緊急性によって時間のかけかたは様々です。将来的に回復出来る範囲の消耗で済ませられるなら時間をかけても良いですが、ダメージの深刻さによっては早急に動いたほうが良いでしょう。

ダメージ評価は自覚しにくいのが難点ですが過小評価は危険です。(過大でも問題ありますが)

明らかな体調不良をともない始めたら症状が軽度なうちに必ず病院に行き、改善のために働きかた自体をあらためる必要があります。

職場に改善の余地がありそうなら相談や改善依頼をして、見込がなさそうならすみやかに転職するのが正しいのです。

もし健康を害してる社員に対して社内改善もせず、それこそ「石の上にも三年」と引き留めてくるような会社なら遠慮なくすみやかに転職しましょう。

会社から不当な方法での引き留め(同業の転職できないよう業界に評判を流す等の脅し)があれば労基に相談し、法的手段も躊躇せず選択肢に入れましょう。

レベル3:バイオレンス系ブラック企業からはすぐ逃げるべし

いわゆるブラック企業の中でも、”バイオレンス系ブラック企業”というのが存在します。言葉どおり、暴力・暴言のパワハラが横行する恐ろしい職場です。その中でも二通りあって、

  • 経営者自身が社内の統率のためにパワハラを行使する「軍隊型」
  • 経営者が放任すぎて社内のパワーバランスが荒れて特定の個人が権力を振るう「無法地帯型」

「軍隊型」は経営者以下の側近(取締役や部長クラス)がイエスマン化して硬直した組織になりがちです。経営者の機嫌を損ねないための会議が真面目に行われてたりします。

「無法地帯型」は逆に経営者の力が弱すぎて、現場の番頭などが極端に威張り散らしてる職場です。実はこちらのほうがタチが悪く、さしずめ先生も手が付けられないヤンキーがいる中学校のような状態です。「軍隊型」ではまだ経営者自身がリスクを負ってるので歯止めがきいてる部分もありますが、「無法地帯型」は本当に無法地帯状態なので、普通では考えられないような暴力や暴言が横行してるのです。

このようなバイオレンス系ブラック企業からはすぐに脱出すべきでしょう。

そもそも社員の安全など考慮されてないためいつ大怪我をしてもおかしくないし、メンタルごと傷つけられて仮に職場を脱出できた後でも長いこと苦しむこともあります。下手したらマインドコントロールに近い状態になって転職とかで脱出そのものを考えられなくなるようなケースもあります。

このようなパワハラ職場からは、とにかくすぐ逃げだすのが一番正しいのです。

後輩くん
後輩くん

悲惨すぎますが、ずいぶん実感こもってますね…まさか…

めんま
めんま

察しのとおり、僕も以前「無法地帯型」の職場にいた経験があったりして…

後輩くん
後輩くん

やはりそうでしたか…意外と地獄見てきてるんですね…

めんま
めんま

パワハラ職場からの逃げ方についてはまた詳しく。

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