【読書】あなたはあなたが使っている言葉でできている

読書ノート

1、書籍情報

タイトル:あなたはあなたが使っている言葉でできている
著者:ゲイリー・ジョン・ビショップ
出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
初版発行日:2018年10月19日

もしあなたが
「変わらない日常から抜け出したい」
「現状に不安や不満があるが、どう行動すれば良いかがわからない」
「一歩踏み出す勇気が欲しい」と思っているなら
ぜひ本書を手にとってみてください。


本書は、米国に移住して存在論と現象学について数年間学んだ後
世界有数の人材開発企業でシニアプログラムディレクターを務め
世界中の何千人もの人にコーチを行っている著者が
まるであなたの隣で語りかけてくるような文章であなたを勇気づけてくれます。

世界的名コーチである著者と、対話を重ねるように本書を読んでみてください。
きっとあなたの中で新しい発見があるはずです。

★ニューヨーク・タイムズ パブリッシャーズ・ウィークリー ベストセラー
★世界17ヵ国で出版!

amazon.co.jp 書籍紹介欄より

2、読書記録と感想

一回目オーディブル視聴(2023年4月12日~同日読了)
二回目オーディブル視聴(2023年5月5日~5月6日読了)
三回目kindle電子書籍(2023年5月6日~5月17日読了)

オーディブルで自己啓発モノを手あたり次第に聴き漁っていた時の1冊。

初見(初聴?)は仕事で三重県松阪市へ車移動の道中で聴いた。

1.7倍速で2時間20分程度。ちょうど大阪から松阪への片道所要時間でほぼ読了。

特に印象に残った本だったのでその後二度目を聴き、この記事にまとめることを思い立ったのでさらにkindleでも読み返した。

タイトルが、”思考は現実化する系”にありがちな「達成したいと強く願えば不思議な力が作用して云々」という謎のスピリチュアル理論の本のように見える。

しかし実際には、行動を起こすためのマインドセットを説き、後半からは「思考ではなくて行動」「行動は思考を変える一番の近道」というゴリゴリに硬派な行動推奨本だった。

だからこそ良い内容だと思った。

この本では「アサーティブな言葉」(自分自身への主張)というのが全体のキーワードで、第2章から第8章の章題がそれにあたる。

自分への言葉を”反応的な会話型”から”意志表明の主張型”へと切り替えることにより行動を変革することが本旨であり、タイトルの本意もそこにあるようだ。

3、読書メモ

随所に記憶にとどめたい文章がたくさんあったが、その中でも特に記しておきたい部分を引用し、それぞれに自分の考えや感じたことを書きとどめる。

中には直接本文と関係ないように思えるものもあるが、それぞれこの本から得た自分の思索と連動している。

第1章 最初に心に刻むべきこと

人はみな、2種類の会話をしながら生きている。ほかの人との会話と、自分との会話だ。

「自分としゃべったりなんてしない!」と言い張る人もいるかもしれないが、実は人間の一番の話し相手は自分自身なのだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.9-10)

声に出す・出さないにかかわらず、頭の中で自分へ語りかける自分への言葉はたしかに膨大だ。

よく考えてみると、頭の中にまったく言語が無い状態は睡眠時間以外ほとんどないのではないだろうか?

それにも関わらず、頭の中で自分に語りかける言葉の影響自体をあまり気にしたこともなかった。

そして、それらの言葉が自分の行動を制限し、どれだけ現実への影響をおよぼしているかの自覚もあまりなかったと思う。

最初の一歩は、自分のためにならないしゃべり方はやめて、ためになるしゃべり方を意識することだ。正しい言葉を使い、問題を別の角度からとらえ直すことで、ものの見方、世界との関わり方は劇的に変わる。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.21)

状況や環境が良くなる時も、悪くなる時も、自身の心の反映の結果という観点で現実を捉えていく。

仏教の考え方に「環境(依報)と自分自身(正報)は二つのものではない(不二)」とあるがそれに通じる考え方だ。とても主体的な人生観だと思う。

人生を向上させるためには悪い循環を断ち切って、良い循環に入る必要がある。

その第一歩として「自分へかける言葉」に留意していく必要があるのだろう。

自分なりの現実をつくり出すには、セルフトークを会話型(ナラティブ)から主張型(アサーティブ)に変えることだ。

セルフトークを「流れていく会話」(自分自身や他人や人生について、意見を言ったり判断を下したりする会話)にするのではなく「主張の場」ととらえるのだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.23)

他人に投げる言葉でその相手との関係性が形成される。

自分自身に投げる言葉で自分の考え方を形成され行動として顕れる。

その結果、自分の習慣や環境が出来上がり、人生が決定されていく。

だから人生を向上させるためには、ます自分との会話に意識をむける必要がある。

その会話は常に断定した言葉で、自分に対して主張(アサーティブな言葉)していくことが大切なのだという。

第2章「私には意志がある」

大切なのは、意志を持てるかどうかだ。その意志によって、努力し、一歩を踏み出し、困難に立ち向かい、求めていた前進と変化を手に入れるための扉が開かれる。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.36)

「意志の力で現実を変革する」と、昔から自己啓発書などではさんざん見聞きしてきたが、それをある意味で根性論のように捉えていたかも知れない。

しかし、ありのままに心と現実が直結しているという認識に至ることはなかったと思う。

この認識転換が出来るかが、意志の力を発揮するための要件だろう。

「こんなのもうイヤだ」という思いは、ときとしてこれ以上ないモチベーションになる。

今のあなたの必要なのはどちらだろうか。「やるぞ!」という意志か、それとも「もうイヤだ!」という意志か。

いずれにせよ、否定の意志は、やろうという意志と同じだけのパワーを秘めている。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.38)

今より上昇したい「やるぞ!」という意志。

今の境遇から這い上がりたい「イヤだ!」という意志。

どちらにしても強く発動される意志が現実に反映される。

目標達成に必要な行動を取るのがイヤなら、本当はほしくないというサインだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.43)

「ああなりたい」「こうなりたい」と口にはしながらも行動を起こさないのは、心の中の「そこまでして達成したいと思わない」という意志が現実に反映されていることになる。

行動を起こせていない時は自分自身の本心を峻厳に見つめることが必要だ。

第3章 「私は勝つに決まっている

人の思考はとても強力で、常に目標達成へ駆り立てる。それが目標だと本人が気づいてないときでさえ、だ!あなたの脳には勝ち癖がついている。

《中略》

脳がそうさせている。問題は、無意識的な本当の望みとのあいだにずれがある点、ときにはまったく異なっている点にある。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.56)

人間は自分の思考や意志のとおりにすべてを達成しているのだという。

今の自分の姿や状況は、過去の自分の意志の結果であり、今の自分の意志が未来の自分の在り方も環境も形成していく。

人は人生のほとんどを自動操縦モードで過ごしている。意識的に何か考えることのないまま、ぬかるみを這い進んでいる。

あなたの人生の道行きを決めているのは、そうした心の奥深くにある隠れた思考だ。脳はその道を行けとせっつくが、その道をあなたが意識的選んだ道は必ずしも一致しない。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.58)

「自動操縦」とはつまり、行動や意思決定の大半は「惰性」でなされるのが常だということだ。

「願望」と「意志」は必ずしもイコールではない。

そのギャップを認識しないと、自分の行動をイメージ出来ず、実行に移せないのだと思う。

私がよく言うのは、人は自分のなわばりや世界では無敵だということだ。

《中略》

仕事の中身や効率を見直すことも大切だが、なわばりを離れることを考えたほうがいいときもある。それにはまず、自分を縛っている限界に気づかなくてはいけない。それは「絶対」に思えるものや、今のあなたが気づいていない何かだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.58-59)

人間関係の変化により自分自身の定義づけが更新されて、言動や行動が変化するという体験をした人はいるだろうか。

私はある。

転職して職場環境が大幅に変わったことにより、それまで出来なかったこと、出来ないと思い込んでいたことが出来るようになった経験をいくつかした。

”なわばり”の中に長期間いると自分の定義を固定化してしまいがちだが、実はそれによって”自動操縦”されていることに気づいたほうがいい。

自分自身の定義づけを更新することは、生活向上にとても効果が高いからだ。

第4章 「私にはできる!」

他人に見えるのは人生の上澄みにしかすぎない。一方、自分の人生を見るとき、私たちは裏側ばかり目を向ける。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.75)

他人を羨む気持ちは誰にでもあるが、わかっていてもなかなか拭えないものだ。

同様に自分の置かれた境遇への不平不満もまた拭いがたい。

境遇だけならまだしも「なんであの人のような容姿に生まれなかったのだろう」「僕と彼とではしょせん持って生まれた能力からして違う」など容姿や身体的、能力的なことまで

まるで自分の存在を”借りてきた乗り物”かなにかのように、自分の気に入らない部分は「別の誰かのものと取り替えたい」と感じることは誰にでもあると思う。

しかし、自分と他人がそれぞれはらってきた”努力”に目を向けることは少ない。

なにかを達成するために味わった挫折も、他人の目には見えにくい。

見えていないだけで、その人にしか知り得ない苦しみがある。

「私にはできる!」というのは、完璧な解決策があるという意味じゃない。単純に、あなたにはハンドルを握る力があり、今までと同じように今回の問題もなんとかできるという意味だ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.84)

自信を持つためには、ある事柄に圧倒的な結果を出さなければならないとか、ある分野で万能でなければならないというように、なぜか自分に対して異常にハードルを上げる人がいる。

私自身もそうだ。

しかしこの箇所を読んで、自信というのはもっと身近に感じるべきものなのだと思った。

自信とは簡単に言えば、なにかを遂行することに抵抗を感じないことだ。

たとえば車の免許を持っていて日常的に運転をしている人は、運転そのものを「普通のこと」と捉えるが、

免許を持ってなかったり、長年ペーパードライバーだったりの人からすると運転は特殊能力のように見える。

今は普通に運転できる人でも、最初は公道に出るのが怖くて仕方ないくらいの初心者だった時期はあったはずで、新しいことに挑戦することはそれと同じなのだろう。

要は「自信がないから始めることが出来ない」というのはそもそもおかしな話で、まず始めてみて経験を積むうちに出来るようになり、それが当たり前になることで自信になる。

そう思うと、最初は自信などないのが当然で、自信がない代わりに行動する勇気を出すことが大事なのだと思う。

第5章 「先がわからないからおもしろい」

明日は雨が降るだろうか。株価はどうなるだろう。スーパーボールで優勝するのはどっちのチームか。あなたはいつも先を見て、何が起こるかを実際に起こる前に突き止めようとする。

なぜか。

確実さがほしいからだ。

《中略》

これはもう、願望というより中毒に近い。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.88)

未来の不安を回避したいと思うのは人間の本能だろうが、そのために確実性を手に入れようとすることは、砂漠の蜃気楼がオアシスに見えているようなものだ。

そもそも確実な未来など存在しない。

良くも悪くも確実そうに見える予測を立てているだけに過ぎない。

たとえば将来に具体的な不安や脅威が迫っていたとして、それを不可避な未来として諦めて無抵抗になれば、その脅威は現実のものになる可能性が高まる。

この場合、結局は自分の行動が脅威を招いてるというこのにはならないだろうか?

しかしこういう場合でも「予期していた脅威が的中した」と感じるだけのことが多い。

迫る脅威に対して幾分かでも時間があるならば、それをどれだけ望ましい未来に転換できるか取り組む以外ない。

ここでよぎる未来への不安は、その予測を転換するための行動エネルギーに変換するしかない。

そのために一層、自分へアサーティブ(主張型)な言葉をかけて主体性を発揮するのだ。

どんな決断であれ、一番いいのは正しい決断をすること。

次にいいのは間違った決断をすること。

そして最悪なのは何も決断しないことだ。

ーセオドア・ルーズヴェルト(アメリカ第26代大統領)

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.92)

決断とは「これを行う」「これをやめる」となんらかの決定をして、それを実行すること。

今の自分はなにを行い、なにをやめるのか。

”なにも決断しない”という最悪の選択だけは避けたいものだ。

不確実さは人生にパワーをもたらす。その人を形づくり、ときには壊す。人を金持ちに、あるいは貧乏にする。成功のカギになることもあれば、失敗へと導くこともある。

そして多くの人が、その両方を経験する。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.94)

世のインフルエンサーや成功者は「リスクをとってこそ成功する」という発信をたくさんしているが、リスクをとって失敗するケースだって無数にある。

しかし成功者の発信にはそこに焦点は当たらず、成功事例だけを声高に取り上げてリスクがリスクでないかのような錯覚を覚える受け手も多いと感じている。

現状を大きく転換するためには大きなリスク(不確実性)にベットする必要があるというのは事実だろうが、同時になにがリスクなのかを把握することも大事ではないかと思う。

とくに家族があるなど、守るべきものがあって影響が自分だけで済まないような状況であれば、致命傷を負うような失敗は避けなければならない。家族や周囲の人の人生はそれぞれのものだから、それを勝手に賭けの対象にしてはいけない。

が、逆に自分自身で賄えるリスク…たとえば”自分の小遣いが全部無くなる”とか”自分が恥をかく”あるいは”家族は巻き込まないが自分は苦しい思いをする”といったような、自分で賄えるリスクには全てベットしていかなければならないと思う。

第6章 「自分は思考ではなくて行動だ」

気分じゃなかろうが、とにかくやるしかないんだ。

もちろん、正しい心持ちや気構えは大切だが、心が完璧に整うのを待っていたら、いつまでたっても何も始められない。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.110)

とにかくやる。

誰にでも出来るのに、誰もなかなかやることが出来ない。

行動する、実行する、始める、やり抜く、継続する、

どれも動詞だ。行うか行わないかであって、出来る出来ないは別の問題だ。

結局は行動を起こす以外に物事を進めることはできない。

行動のメリットは二つある。

第一に、行動すれば必要なことができる。当たり前だ。そして次に、おもしろいことに行動は思考を変える一番の近道になる。

《中略》

思考が現実になるのは本当だ。しかし、思考は行動を通じてはじめて人生になっていく。それまではただの思考でしかない。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.113)

思考のない行動はただの暴走だが、行動のない思考は何も考えてないのと同じだ。

ただ実際には、行動を起こした先に思考が起こらないことはありえない。

最初は考えなしに始めてみたとしても、その行動の結果を受けて思考を重ねて行動を改良していくものだ。

逆に、思考はしたが行動が起こらないということはあるが、それは思考というより”妄想”だ。

行動と思考は、鶏と卵のような関係なのかも知れない。

どちらかが最初にくるというものではない。相互に循環するのが本来なのだろう。

そしてその循環の中からしか人生の好転はない。

心がやる気になるのを待っていけてはいけない。自分を駆り立てる魔法のような感覚をいつまでも探していてはいけない。

ただ動こう。思考は脇に置いて進もう。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.116)

先ほど”思考はしたが行動が起こらないということはある”と書いたが訂正する。

この本の理論でいうなら、思考はしたが実行に移さないという場合、それは”実行しない”という行動を起こしていることになる。

つまり、思考がそもそも「必ず実行しよう」となっていない。

”やる気になるのを待つ”という行為は、自分で実行しようという思考を起こさないのに、いつか自分の思考に反して行動が起こるのだろうと期待しているようなものだ。

だから、やる気が出る・出ないは無視して、行動を先に起こす習慣をつけることがもっとも目的達成の近道なのだとこの本は教えている。

第7章 「私はがむしゃらになる」

不快感と不確実性、リスクから最大の成功は生まれるものだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.124)

最近の自己啓発本は「がんばらなくていい」とか「楽をして成果を出す」というものが流行ってるようだが(それはそれで魅力があるし、ある種の思考停止型ガンバリズムの脱却という意味で否定しないが)、自己実現はやはり楽な道ではないと再確認する一文だ。

実際に歴史上の偉業はもれなく困難の中から生み出されている。

そこまで大げさな話ではなくとも、身近にたたき上げで事業を起こした人の話を聞くと、なんの逆風もなく事業を軌道に乗せた話はあまり聞いたことがない。

まれになんの逆風もなくそれなりの地位にいる人もいるが、その人自身はなんの挑戦もしておらず、単に親の財産やコネなどでラッキーにもその地位にいる というパターンだったりする。

これは完全に持論だが、人間は平常な状態から快楽を目指すパワー(ゼロからプラス)よりも、不快から平常あるいは快楽(マイナスからゼロ以上)へ逃げるパワーのほうが力を発揮するのではないかと思っている。

そもそも生物は危機回避のために進化を遂げて生存してきた。環境に変化が生じた時にそれを不快と感じた生物がその不快から逃れるために適応・進化してきた。

不快感・不確実・リスクが成功へのパワーとなるのは、本能に則っている気がする。(学術的な根拠は知らない)

ただ、人によってどのレベルを不快を感じ逃げ出したいと思うかには差がある。

だから不遇な境遇に甘んじて不快にすら思わなくなった時には、人生が好転する日は訪れないのだとも思う。

自分が上がっているかも下がっているかも、何割くらい来たのかもわからない。そんなとき、あなたを前へ進ませるものは一つしかない。

それはがむしゃらさだ。何が起ころうと動いて、動いて、動き続ける勢いだ。

「気分」は関係ない。不安や疑念に押しつぶされえそうかも関係ない。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.127)

”がむしゃらさ”という、実に今どきの自己啓発本に似つかわしくないワードが登場しているが、なにかを達成するための普遍的なマインドだと思う。

自分はやはり昭和の人間だからか、ある種の努力・根性論は否定しきれない気持ちがある。

とは言っても、”がむしゃらさ”には、「辛いけれど歯を食いしばって頑張る」というような悲壮なイメージではない。

ネット辞書で検索すると

がむしゃら【我武者羅】(goo辞書)
一つの目的に向かい、血気にはやって向こう見ずになること。また、他のことはまったく無視して、ひたすらあることをすること。

夢中になってなにかに取り組んでいるような、どちらかというと楽しんでそれに取り組んでいる状態をイメージする。

正しい道を歩んでいる確信がないとき、転んでばかりのとき、へこむのは全然かまわない。なんなら負けたっていい。ダメなのは立ち止まることだけだ。

がむしゃらさはいつだってあなたの味方だ。ほかに何もなくなったとき、最後に残るのはがむしゃらさだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.137)

努力をいくら重ねても空転に思える時もある。

それでも立ち止まらなければ少しずつでも前進はする。

方向転換することはあっても、止まらずに動き続ける。

これは一番むずしいことではある。

むずしいがゆえに強調しているのだろうと思う。

第8章 「私は何も期待せず、すべてを受け入れる」

期待を切り捨てよう!期待を手放すのだ。今すぐに!

不必要で非生産的な期待にしがみついて泥沼にはまるより、人生は予測がつかないという事実を受け入れ、実際の状況と向き合うほうがずっとパワフルだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.149)

期待を手放すというのは、他人や環境が自分にとって有利にはたらくとアテにしないということ。

つまり、テイカー(与えられる者)としての自分を捨てるということだ。

目の前の事象をありのままに受け入れて、自分のはたらきかけで事象を動かすと言う主体性を身に着けることが必須ということだろう。

他人に対してであれば、そのはたらきかけは「与える」こと。

つまり、テイカー(与えられる者)の自分を捨て、ギバー(与える者)として振る舞うということだ。

プランを立てるのがよくないとは言わない(そんなことはまったくない)が、プラン(とそれにともなう予測)に100パーセント沿おうとするのは、もう舟から転落してオールも舟もどこにもないのに、まだ漕ごうとするのと似ている。

《中略》

目を覚まそう。あなたはもう水に落ちている。だからオールを漕ごうとするのはもうやめよう。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.150)

実はすでに水に落ちているも同然の状態なのに、高性能なオールを持ち出そうとするようなことはいろんな局面で見られる。

私の会社では「改善会議」なるものが頻繁に実施されているがそれがまさにこの状態だ。

私自身も、個人的な困難に直面した時には方策を練りに練って対応しようとする時もあるが、ちょっとした状況変化で簡単に破綻するようなことも多い。

水に落ちているときはとにかく手足を動かして泳ぐしかない。

他人に対する期待を手放し、起こったことをそのまま受け入れる姿勢を学んだ瞬間、人間関係は劇的に改善する。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.154)

言い換えると、テイカー(与えられる者)であることを捨て、常に主体的なギバー(与える者)の行動を起こすことが出来れば、人間関係は劇的に改善される。

これが一時的ではなく、持続的に実践できるかどうかだ。

第9章 次はどこへ?

ポジティブ・シンキングだけでは事態は好転しない。人生を変えたいなら、外へ出て動くことが必要だ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.163)

結局は外へ出て行動。それしかない。

はっきり言おう。死の床のあなたが後悔しているのは、何も成し遂げられなかったとか、目的のものが手に入らなかったとかいったことじゃない。挑戦しなかったことだ。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.166)

今は今で苦しいこともある。変えたい状況もある。

身に付けたい知識や技能もあるし、手に入れたいものもある。

人生の最後に後悔があるとすれば、それらに対して行動しなかったことを後悔するだろう。

理解はできるが、実感としては完全にピンとはきていない。しかしそれは、今ぼんやりと思っているよりも何百倍も激しい後悔なのだろうなと思う。

内面を改善するには外の世界で動けばいい。それと同じように、過去を忘れたいなら未来を形づくればいい。何か大きな、これまでにない大きなものを築こうとすればいい。

ゲイリー・ジョン・ビショップ「あなたはあなたが使っている言葉でできている」 (p.169)

自分の内面(思考)が、外の世界(現実)への行動となって未来をつくる。

消したい過去、恥ずべき過去があっても、自分と、それを見てきた自分の周囲の人間にとって記憶というかたちで残り続ける。消すことは出来ない。

過去は変えることはできない。

しかし現在の在り方で未来を拓き、過去のもつ意味は変えられる。

ただし消したい過去が重ければ重いほど、それを塗り替えるほど大きなものを築かなくてはならない。

熟考する時間を持て。

しかし行動すべきときが来たら、考えるのをやめて動け。

ーナポレオン・ボナパルト

さあ、さっそく今から行動を開始しよう。

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